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「何を言ってるんや、己は、その女を連れて行かれたら、私の面倒、明日から誰が見るんや」
髪を振り乱して、花音に暴言を吐く女に古城はやり切れなさを感じていたが、狂人の様な女に、しっかりと対応する花音に感心したのだった。
「自分で自分の面倒ぐらい見れば、意地悪で捻くれ者の宣子さん。それだけ元気があるなら、掃除からでも始めるのね」
「なんやと~、お父さんに言うたるから、覚えとけよ」
「言えば良いじゃない! 何も変わりませんよ。言ったでしょ。あなたのお父さんも知ってる事よ。もうお母さんをあんたの勝手にはできないの」
「くそが! えらい目にあわしたるからな。あたしの父親にかかれば、お前らなんか!」
「どうぞ、でも、こちらにも用意がある。あんたのしてきたことが、明るみに出れば、どうなるか、その薬漬けの頭でも分かるんじゃない?」
「言わせておけば~!」
女は、 側にあるものを手当たり次第に投げた。
「おい、お前、凛のこと言いふらすぞ! ええんか?」
宣子の怒鳴り声に、古城の母がビクッとした。
バシン!
花音が宣子の頬を叩いた音だ。
体が勝手に動いて宣子の頬を思い切り叩いていたのだ。
同じ女性なのになんて事を! そう思ったら……
「この恥知らず! 争うつもりなら、何もかも公表するわ。とことんやるわよ。あなた父親も失うことになるわよ。そうなれば面白いことになるわね。高級官僚の娘が、麻薬漬けで、性病を罹って、こんな姿で入院していますって…世間のみんなが知ることになるわ。世間は面白いほうに飛びつくものよ。あんたの父親なら娘を見捨てるかのしれないわね」
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