第5章

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古城の母は少しオドオドしている様子だった。それに気づいた花音の母が、 「ああ、ごめんなさい。名乗りもせずに……私は花音の母で、伊藤と申します」 「あ、はい。私はあの…」 古城の母は、申し訳なさそうにチラッと古城を見た。古城は知らん顔している。次に花音を見た。花音はうなずいた。古城の母は潤んだ目でしっかり花音に頷いてから、 「古城早苗と申します」 古城の母はそういうと、うつむいた。 「あの、助けていただいて、本当に有難うございます」 古城の母は、そう言うと深く頭を下げた。 「失礼ながら、ご事情は伺っています。これからのことはゆっくり考えましょう……。もう、私たちは、もう家族なんですから」 「え? 家族?」 古城の母が驚いた顔をした。 「え? 花音?」 花音の母が花音を見た。 「あ……」 そうだったというように、口元に手を当てた。 「ダメじゃないの」 「ごめんなさい」 そう言うと、花音は古城の母に向き直り、丁寧に頭を下げた。そして、深呼吸すると 「あの、ご報告が遅くになって申し訳ありません」 古城の母は、うるんだ目で花音と古城を見つめて小さくコクコクと頷いた。 「私たち結婚したんです」 「まあ! 本当に? 花音ちゃんと?」 古城の母は泣き笑いになってポロポロ涙をこぼした。 「助けてもらった上に、こんな嬉しいことまで。ありがとう。ありがとう。本当にありがとう……ございます! うう」 古城の母は涙が止まらない様子だった。
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