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「早苗さん、私、いいこと思いついたわ」
「まあ、なんですか?」
「ふふ」
花音の母は早苗に笑いかけると、花音に向き直った。
「あなたたち、早く、孫の顔を見せてね」
「マ、マ、ママママ」
驚いて、どもり癖が戻ってしまった花音。
「ねえ、早苗さん、孫ができたら、花音たちと一緒に可愛い孫の成長を見守って行きたいわよね」
「はい!」
「だって、ママたちも、一緒に子育てしたいわ。ダメ?」
「もちろん嬉しいけど......、いきなりそんなこと言うから、ビックリしたの」
「ふふ、ごめんね。私の人生の中で一番素晴らしいことは、花音を生んだことだわ。だから、どうしても言いたくなったの」
「ママ」
花音はジーンとした。
「ママは、仕事ばかりで花音をほったらかしだったでしょう? すごく後悔してるの。何より花音に申し訳なかったわ。そのうえ、病気で一緒にお出かけどころか看病ばかりさせて……」
「ママ、そんなことないよ」
「花音を娘に持って、ママは本当に幸せだわ。こんなに素晴らしい人と結婚してくれて、ママ、本当に嬉しいわ」
花音の母は、古城に向き直ると、
「花音のこと宜しくお願いします」
花音の母が丁寧に頭を下げた。古城もそれに倣うように頭を下げると、
「こちらこそ、至らぬと事のほうが多いですが、宜しくお願いします」
と言った。
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