第2章

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「さっ、早く着替えておいで、朝ご飯の用意をしておくから」 「はい!」 家に戻ると古城に促され、自室へ着替えに行った。 ベージュのパンツに白のカットソー……結局、いつもどおりの服装になってしまった。キッチンに行くと、 「おいしそうなにおい」 「パンが焼けたよ」 綺麗な手つきで珈琲を入れてる。 「あ、バターとジャムを持っていきますね。果物もあるんです」 「いいね!」 花音は手際よくフルーツを盛り付け、ヨーグルトをかけた。テーブルに並べると、なかなかいい感じだ。 「じゃあ、これ食べたら、行こうか……」 「はい!」 食事が終わると、二人で食器を片づけると、出かける準備をした。 「あ、あの、ケーキ持って行っても良いですか?」 「え?」 「美味しそうなケーキだから、母にも食べさせてあげたいんです」 古城が軽く頷いた。二人の様子を見て、チャッピーが忙しそうに二人の周りをウロウロする。 「チャッピー、お前もおいで」 彼はチャッピーを優しく抱き上げて言った。 花音はショルダーを肩に掛け、ケーキを持って後に続いた。 地下駐車場に降りると助手席のドアを開けて花音を座らせ、その膝にチャッピーを乗せた。 チャッピーの少し緊張している様子が可愛い。 「さあ、行くよ」 彼がシートベルトを締めると、慌てて花音もシートベルトを締める。車は駐車場から、すぐ前の道路に出ると、暫くして阪神高速に入った。 チャッピーは花音の膝の上で、熱心に外の景色を見ている。 この道は大友さんに何度か連れて来て貰った事はある。 でも今日は、大好きな人の隣に座っているのだ。ハンドルを握る彼の男らしい手や整った横顔を見ていると、胸がキュッとなってくる。 花音は、ふとスマホを確認した。通知が入ってる。アプリを開くと <<おはよう、ちょっと車を慣らしに行って来ます。6時には帰るつもりです>> との文字が、 「あっ、入ってます。……ごめんなさい…」 「どうしたの?」 「メッセージです。今、見ました」 「ああ、いいよ。そんなこと」 「それに、今朝のこと、恥ずかしいです。私」 「ははっ、少し驚いたけど何事も無くて良かった」 古城が笑いかけると、花音は頬を染めて目をそらした。
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