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赤と白
※この話は、ホラーです。
一部、グロ表現が含まれています。
苦手な方は、ご遠慮ください。
「赤と白、どっちが好き?」
そう、道ゆく人に尋ねている人がいる。
これって結局、どちらを答えても死ぬんだよね。
知ってたよ。
だから出会ってから、後悔した。
夕暮れ時、私の目の前に立ちはだかったのは、顔を隠した男。
後ろに隠し持ってるのは、きっとナイフでしょ?
男は、くぐもった声で言った。
「赤と白、どっちが好き?」
これからすることを弁解するわけじゃないけど、この日私は急いでいたんだ。
遠距離恋愛をする彼氏に会える、一ヶ月に1回しかない大事な日。
その日をこんなくだらないやつに、邪魔される筋合いはない。
そばに落ちていた、大きめの石を手に取ると、力一杯男の頭へと振り下ろした。
ぐしゃり、という気味の悪い音がして、男の体が地面に倒れ動かなくなる。
ざまあみろ。
なんと、男が後ろ手に隠し持っていたのは、赤と白のバラの花束だった。
これはこれで、気持ち悪いね。
私は待ち合わせ場所へと、急いだ。
しかしこの日、いつまで待っても彼が現れることはなかった。
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