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ゾンビサバイバル
すでに人口の8割が、ゾンビとなってしまったこの島国、日本。
壊滅の日は近いと思われた。
テレビをつければ、流れ続ける砂嵐。
天気は毎日、血雨ときどき晴れ。
そんな国で僕は頑張っていた。
このまま行けばこの国は、壊滅への道を辿ることだろう。
僕が頑張れば・・・
僕が頑張れば・・・
その想いを胸に今日も戦い続ける。
人はずいぶん少なくなった。
以前は少し歩けば、仲間うちで談笑し合っている人が数多くいたのに。
今ではそんな様子はどこにも見られない。
僕はひとまず人を探すことにした。
まだどこかにいるかもしれない。
おーい
と声を上げようとした。
しかし、長い間戦い続け、襲われ、疲労した喉は、かすれてくぐもった声しか出さなかった。
長期間の戦闘の末、廃墟と化してしまった街中を僕は辺りに気を配りながら、ゆっくりと歩く。
もうどこにも人など残っていないのかもしれない。
そう思い始めた。
そして悲しくなった。
しかし、今の僕に流れる涙など一滴さえも残っていない。
遠くの建物の屋上にゾンビが顔を出した。
注意して見てみると、五十メートルほど先の廃墟にもゾンビ。
ゾンビだらけだった。
少し早足になる。
早く人に会いたい。
その時僕は、少し離れた廃墟に人影を見た。
慌てて目を凝らすと、そこには銃を構え、警戒をあらわにする男がいた。
見つけたぞ!
僕は急いでその男の元に向かった。
男もこちらに気づいたようでびっくりしている。
僕は一層足を早めた。
男が僕の頭に銃を向けるのと、僕が大口を開けて男に噛み付いたのは、ほぼ同時だった。
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