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滲んだ赤色
あぁ、ほら、もうどうだっていいよ。
赤いワンピースをひらひらさせて、夜の繁華街を歩いていると、ふとそんな気持ちになる。
正直人生なんてね、なるようになるんだよ。
まだ人生の半分も生きてないような女が、そうほざいたって誰も聞く耳を持たないだろうね。
知ってるよ。
夜風にワンピースをはためかせて、今日までに振った人数を数える。
しかし、しばらくして両手ではとても数えきれないことに気づいて、あっさりとあきらめた。
どうせ未練なんてどこにもないよ。
だって、今だってこうやって新しい男を探してるんだからね。
何時からこんな女になったんだっけ。
そうだ、あの時からだった。
初めて、失恋を知ったあの日。
その日がすべての始まりだったんだよ。
もちろん今でも鮮明に思い出すことができる。
ただ一人、愛していたやつにフラれた気持ちはどうだい?
そんなことを言って、彼は笑ったんだ。
もう嫌いになったあの笑顔で。
それから、彼の後を追うわけじゃないけど、夜の仕事を始めた。
前から若いカップルがやってくる。
あんな奴ら、爆発してしまえ。
そう思い、街灯で照らされた相手の顔を見た瞬間、体が凍り付いた。
瞬時に目をそらしたけれど、もう遅いね。
自慢の赤いワンピースが滲み出す。
彼はいつもといたって変わらない。
今は、この世界に私もいるってだけ。
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