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 あずみは思わず駆け出し、絵梨花に抱きついて、そして泣いた。抱き合いながら、二人で、泣き続けた。  私のマフラーってーー  しばらくして、駅に向かって並んで歩いていると、ふと絵梨花が言った。  あーーごめん、捨てちゃった。  あずみは応える。  犯人曰く、絵梨花を狙ったのは大人しそうで、反抗してこなさそうだったから。絵梨花を標的にする最初のきっかけは、ピンクのマフラーが目を引いたから。以来、ずっと、そのマフラーを目印に絵梨花の姿を探していたらしい。  呪われたマフラーだから、捨てたほうがいいと思って。  あずみが言うと、絵梨花はゆっくり微笑んで、ありがとうと言った。  もう要らない。だって昨日、このマフラー、あずみちゃんにプレゼントしてもらったから。  あのね、あずみちゃん。私ね、明日から自転車通学にする。ちょっと遠いけどーー体力ないけど、頑張るから、一緒に行っても、いい?  うん! いい!  あとね、オシャレって、楽しいね。着たい服があっても、私ね、どうせ似合わないからって諦めてたの。でも、着たい服を着て、したい格好をしていたい。  あずみちゃんみたいに、可愛くて、強くなりたいの。  あたしみたいにならなくてもいいよ。絵梨花には、絵梨花のらしさがあって、あたしはそこが好きなんだから。  ありがと。自分のこと、ちょっと好きになれた気がする。  絵梨花、あのさ。  何?  あたしさ、警察官なろうかな。  いいじゃん! 応援する! 私も、なりたいもの、探すよ。  ねえ、お腹空いちゃった。  そうだね。  駅前の、サイゼ行こう。  いいね!
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