愛しのアレン(ShortVersion)

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*  彼と出会ったのは2週間が過ぎた頃。それは私が小さな石橋の上から、氷の張った川を眺めていたときだった。 「君、いつも真ん中で踊ってる子だろう?」 「――え?」  突然後ろからかけられた声に振り向けば、そこには私と同じくらいの歳の男の子が立っていた。 「どう? ここにはもう慣れた?」 「……え、ええ」  帽子から覗く太陽の色に輝く金の髪。それと同じ色の、今にも吸い込まれそうな大きな瞳。そして、溢れんばかりのキラキラした笑顔。  その全てに、心を引かれた。 「君、時間ある? もし良ければ僕に町を案内させてくれないかな? どう?」  紺色のコートとマフラーを装った彼は、寒さからか鼻先を赤くして、それでもにっこり笑って右手を差し出してくる。その屈託のない笑顔に、私は気付けば頷いていた。 「やった! ねぇ君、名前は? 僕はアレン。アレンって呼んでよ」  そう言って更に笑みを深くする彼――アレンに、私の頬も思わず緩む。 「エラよ、アレン」 「エラ、……エラ。とても素敵な名前だね。じゃあさっそく行こう、エラ。行きたい場所があれば言ってね、どこへでも連れて行ってあげるよ」  彼はそう言って私の左手を取ると、軽い足取りで歩き出した。
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