新聞を縛る白い紐で猫のマフラー作ってみた

プロジェクトXYZ

上山さちは令和の13日の金曜日、缶チューハイ350mlたった一本で、上機嫌にベロンベロンに酔っぱらっている。

上山は、下戸である。彼女にとって缶チューハイ一本は、もうこれ以上呑めない限界点である。

上山さちは令和初の年を振り返り、プロフィール欄に書いた、13ジャンル全制覇を成し遂げていないことに気がついた。

酩酊する意識の中、上山さちは残されたジャンル、「ノンフィクション」、「How toエッセイ」、「設定・プロット」、「イラスト・写真」のことを思い浮かべた。

楽しみにしている、いつもの音楽テレビ番組が20時からではなく、21時からと知って上山さちは落胆した。

しかし、その音楽番組が始まるまで、ながら見していた、トーク番組は意外と面白かった。

上山は、残されたジャンルのひとつ、ノンフィクションに挑戦することを決意した。

令和元年、12月13日、20時、そのプロジェクトはスタートした。

上山家の猫、オセロに、新聞を縛るビニール紐で、さちは小さなマフラーを作ろうとしている。

オセロとい名前は白と黒の二色の猫だからつけられた、非常に安直な名前である。

しかも、かぎ針も使わず、指で三つ編みの技術のみで挑む。

多くの人々が上山を止めた。

そのプロジェクトは実現困難だと。

しかし、上山はやり遂げた。

たった一時間で愛猫オセロのために、新聞を縛るビニール紐で、マフラーを作り上げた。

ひとつ重大な点を説明しておく。ビニール紐で作ったマフラーは、猫がじゃれて危険だ。

もし、上山の真似をしようとしている人がいたら、マフラー姿の猫の写真を撮ったらすぐに、外して上げて欲しい。

ビニール紐のマフラーは、小さなお子様や猫の手の届かない所にしまってほしい。

「風邪の中のくしゃみ～♪砂の中の水虫～♪みんなどこへ行った～♪ミドリムシが食べ尽くす～♪」

上山さちはまさに、金時の火事見舞い。顔を真っ赤にして酔っぱらって変な歌を歌いながら、新聞を縛るビニール紐で三つ編みを作る。

ここでアクシデントが起きた。表紙画以外に画像を挿入したくても、スマホから挿入出来ない。オセロに協力してもらった、とっておきの写真が貼れない。

上山さちは、時計を見た。とっくに音楽番組が始まっている。上山は決断した。

表紙画のみでこのノンフィクションを終わらせてしまおうと。

テレビから流れるBoAのクリスマスの名曲を聴きながら、上山はこのノンフィクションの結末を考えた。

酩酊した彼女に良い結末は浮かばない。

「ヘッド～バン～♪ヘッド～バン～♪今はもう出来ないよ♪

ヘッド～バン～♪ヘッド～バン～♪若いから出来た事～♪

ヘッド～バン～♪ヘッド～バン～♪黒い服好きだった♪

ヘッド～バン～♪ヘッド～バン～首がもげるほど♪

ヘッド～バン～♪ヘッド～バン～♪頭振る若い頃♪

ヘッド～バン～♪ヘッド～バン～♪懐かしいビジュアル系♪」

画像挿入を諦めた上山は、音楽番組でにこやかにトークするTOShIさんを見つめて、懐かしいあの頃を振り返りながら歌う。X世代ではない。hideさんのソロ時代に高校生だった。

当時、hideさんが亡くなって女子高のクラスで、hideさんが好きな友達と一緒に涙が枯れるまで泣いた。

「後を追ったらhideさんの曲を語り継ぐ人がいなくなる」

「悲しいけど、生き抜いていつか伝えよう。Xという奇跡のバンド、hideさんという唯一無二のアーティストの存在を」

友達と生き抜くことを誓い合ったあの日。

上山さちの目には、愛猫オセロのマフラーを編み上げた達成感と、早世した伝説のギタリストを懐かしむ気持ちが溢れて、自然と涙がこぼれた。

愛猫オセロは、新聞を縛る紐で作ったマフラーを、長い蛇のようなおもちゃにして遊んでいる。

夫の上山崇は、「触らぬ妻に祟りなし」とばかりに、酔ったさちを見守りながら、ガンダム・ブレイカーモバイルに興じる。青きなんちゃらのイベントらしい。

さちもフレンド・ポイントを崇にあげるために、ちょくちょくプレイしている。

上山家の13日の金曜日は平和だ。愛猫オセロだけが、妄想コンテストのお題のためにマフラーをさせられるという憂き目に遭った。

しかし、そのマフラーはオセロにとって、格好のおもちゃになった。

↑キラキラしてるのはお菓子の箱にについてた金色のゴム紐

↑結ぶと編み目の雑さが目立たない（安堵）

令和元年12月14日。

このプロジェクトにさならる奇跡が起きた。

上山さちは気がついた。

画像が挿入できない原因に。

ブラウザから入ると画像挿入のアイコンが出ない。

それならば、エブリスタのアプリをダウンロードすれば上手く画像が挿入出来るかもしれない。

「ブラウザがダメならアプリがあるじゃない？」

「パンがなければケーキを食べればいいじゃない？」

マリー・アントワネットがその名台詞を言ったか言わないか、双方の説がある。マリー・アントワネットについては脱線するので止めておこう。

アプリをインストールして、画像が挿入出来た瞬間、上山は歓喜した。

年末恒例の第九を歌うほどに。

こうして無事に、愛猫オセロのマフラープロジェクトは終結した。

表紙画像は挿入出来ても、ページの途中に画像が入らなくてお困りの方はエブリスタのアプリをインストールして、アプリから入ってみてください。

今度こそ、本当にエンディングである。

♪ヘッド～ランプ♪テール～ランプ♪
♪ウィンカー♪フォグライト♪
♪発車～♪前に～♪点灯の～確認を♪

今日の上山は素面。素面でこのノリである。非常に危険な人物と言わざるをえない。
しかし、師走の忙しない中、交通安全には気をつけたいものである。

（終わりにゃ）