竜宮城はカメの国?

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竜宮城はカメの国?

そんなこんなで、いつのまにか竜宮城。 うちに来るときには宅配便だったのに、帰るときは魔法でも使っているのかと思うくらい、あっという間だった。私の考えていることが分かったのか、カメは聞かれもしないのに話し出す。 「ウラシマさんのところに行くのは魔法じゃだめなんですわ。ちゃんとした手順でいかんと。といっても、カメが町中を歩くわけにもいかんから、親類の者に頼んで運んでもらったんですわ。」 「親類って、あの宅配便の人?」 「そうです。カッパのキュウリ便っていうのをやってる親戚ですわ。」 「え、あれってカッパだったの??」 「そうです。人間のところに行くのは、ちょっと嫌だって言ってましたけど、お礼は弾むからと、無理やりお願いしたんですわ。」 そういえば、なんか生臭いようなにおいがしたのはカッパだったせいか。ひょっとして後ろに背負ったバックパックみたいなのって、甲羅だったのだろうか。 「カメとカッパが親戚って、初めて聞いたわ。」 「まー普通の人は知らんでしょうけど、いとこ、いやもうちょっと遠いかな。またいとこくらいですかねー。とにかく親戚なんですわ。ウラシマさんがもーちょっと海辺にすんどってくれたら頼まんでもよかったんですけどな。」 言われてみれば、たしかに甲羅があって水に縁のある生き物っていうところは共通項かもしれない。カッパなら街を歩いていても目立たない・・・うーん、その辺は微妙かなあ。うちの近くには川はないし。どうやって来たんだろう。カッパって水がないとダメなんじゃなかったっけ。 私の思ったことが分かったのか、勘がいいのかぺらぺらと喋るカメ。カメってもっと無口なイメージなんだけどなあ。 「ウラシマさんの家の近くの道路は、昔は川だったんです。今も川が流れているんですけど、普通は知らんでしょうね。上に蓋しちゃって車が通ってますから。」 「そんなところから、カッパが現れたら危なくない?」 「まあそこはなんとか。」 そんなことをしゃべっているうちに、大きな広間に出た。 「ウラシマさん、ようこそ。」 「あ、オト様。こちらがウラノシマコさんです。お連れしました。」 えー、オト姫って女だと思ってたらイケメン??男なの?? 長い黒髪をきゅっと結い上げて、きりっとした瞳が長いまつ毛に縁どられて鼻筋はしゅっとしている。肌の色は透き通るような白さで、にっこり微笑まれたらくらくらっとしない女がいるだろうか。 「初めまして、ウラノシマコさん。私がオトと申します。この竜宮城の主でございます。はるばるようこそ。カメが何か失礼なことをしてなければよいのですが。このものは悪気はないのですが、時々無茶をしますもので何かご迷惑をかけたのでは?」 「あ、いえ。その、迷惑といえばまあ・・・。」 「そんなことあるわけないですよねー、ウラノシマコさんっっ。」 大きな声でカメに遮られてウヤムヤにされたけど、なにしろオト姫、いやオト様に見とれてしまって、もぉどうでもいい気分になってる。 浦島太郎とは縁もゆかりもない(はず)の私だけど、浦島太郎もこんな風にくらくらしちゃったのだろうか。
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