一卵性の僕

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 自室で昨日買った漫画を読んだりと、だらだらして1時間、一階から兄の声が聞こえてきた。  兄が階段を上がってくる音が聞こえてくる。そしてその足音は徐々に大きくなり、僕の部屋に近づいて来ていることに気づいた。  「だっだいまー!帰ったぞ月!」  兄は僕のことを月と言う。兄は僕とは正反対の明るい性格で裏表のない、まさに好青年という言葉が似合う人だった。  「お帰り兄さん、昨日のドラマ見たよ」  「おっ、見てくれたんだ!照れるなぁ〜」  兄さんは少し顔を赤くして嬉しそうに右手を頭にのせる。  「案外兄ちゃん役者も向いてるのかもな!でも、共演した役者さん達、歌とても良かったって言ってたぞ。良かったな」  兄は元々歌手としてデビューしていた。SNSに歌っている動画を投稿したら、その歌唱力の凄さに一気に再生回数が伸び、一ヶ月後デビューすることになった。  バラードからポップな曲まで幅広く歌い、人気を博していた。さらにルックスの良さからさらに人気が上がり、去年の年末には『今年の顔』という、その年最も活躍した人が選ばれる賞を受賞した。  今年からは歌手にとどまらず、俳優など様々なジャンルに取り組んでいる。  まさにスター、僕たち家族の光。  まさに太陽のような存在だ。  ・・・  ある一点を除いては。
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