一卵性の僕

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 「なぁ兄さん本当に良かったのか俺で?」  兄はふと不安そうな顔をして僕に言った。  僕も少し顔を俯かせ、少し笑顔で言った。  「いいんだよ、これで」  「こういうのは月の方が適任だ」  「そうか」  兄は拭いきれないような表情をしていた。  それもそうだ。  兄が本来通る道は僕のものだったのだから。
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