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「僕最近たまにすごい罪悪感を感じるんだ。本当は兄さんが歩む道だったのに、今歩いてるのは俺だ」
月流は泣きそうな顔をして俺に言った。
「もし俺がやっていたら、ここまで人気者にならなかった。これは月流がやったからできたことなんだ、だから気にするな。月流のやりたいようにやってくれ、罪悪感なんてもたなくていい。俺はお前に感謝してるんだからな。」
「ありがとう」
俺がそういうと、月流は抑えていた涙を一気に流した。そしてしばらく泣いた後、涙を手で拭き取り今度は自信に満ち溢れた顔で言った。
「任せて兄さん、『太陽』の名をもっと有名にしてみせるから!」
「あぁ、頑張れ!」
「じゃあ、明日も仕事だからお休み!」
「お休み」
月流が俺の部屋から出ていくと、一気に静かになった。
その中で聞こえてくる自分の鼻息はとても静かだった、しかしその鼻息も徐々に荒くなっていく。
「嘘つきが」
僕はそれまで抑えていた苛立ちを顔に出した。
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