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黒谷瑞季ちゃん── その名のとおり、彼女は祓い屋家業を生業とする黒谷一族の娘さんであった。とは言っても、彼女のお祖父様が先代当主の弟さんで、いわば分家に当たる。
瑞季ちゃんは女の子だし、本家筋ではないので家督を継ぐことはないらしいのですけど。それでも一族の一員として、幼い頃から厳しい修行をして来たのだそうだ。
そんなある日。瑞季ちゃんは自身が持つ強い力に気付く。それは黒谷家が密かに受け継いできた『血』。
妖や物怪などの、凡人には視ることができない存在を視ることができるだけでなく。厳しい修行の賜物からか、彼らとの意思疎通も可能とのこと。
実は瑞季ちゃん。やっつけて飼い慣らした妖を何人か、家来のように引き連れていて、今ここにもいるのだと言う。
彼らは時に、ボディーガードのように瑞季ちゃんを守ったり、攻撃をしなければいけない時には力を貸してくれるのだそうだ。
う~ん…… その妖を視れないのが、ことごとく残念。
そして。瑞季ちゃんのお父様は能力が弱く、祓い屋を生業にできるほどでもないため、一族からは爪弾きにされている存在。
お祖父様が分家として始めた祓い屋家業も、たたまざるを得ない状況に陥ってしまっていた。
そんな父親を見返すべく、瑞季ちゃんは修行に明け暮れてどんどん力を増して行く。その能力は本家筋の能力者も目を見張るほど。
私もいずれ、お祖父様のような立派な祓い屋になりたい── 瑞季ちゃんは、強くそう思っているのだと言う。
そんな折、入学した高校で我が愚息、義顕と出会う。
妖や物怪などは危害を加えるものばかりでなく、例えば岩手県遠野の座敷童子のように、土着して崇められる存在になっているものも少なくない。
民俗や風習を紐解くことで「人ならざるモノ」の理解を、もっと深められるはずだ。そう思って入部した『郷土研究会』。
時を同じくして。歴史好きの両親の影響からか、義顕も『郷土研究会』へ入部。二人は新入部員として、多くの時間を共有するようになる。
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