勇者と魔王

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 魔王との戦いが続く中、一人の赤子が生まれた。  彼女は、魔王と同じように常人とは比べ物にならないほどの、魔力を有していた。  しかし、彼女の両親は、赤子が戦いの道具になることを危惧し、周囲から隠し通すことを決意した。  両親は彼女の力を封じ込める魔法を使い、他の子供と変わらないように偽装した。この偽装は成功し、彼女は普通の人間と同じように育てられた。  だが、それも長くは続かなかった。彼女が成長していくにつれ、その力はさらに高まり、両親の魔法さえも、通じなくなってしまった。  彼女は連合軍に連れられ、両親の元から離れざる終えなくなった。  彼女に対する意見は二つに分かれた。一つは、次なる魔王となる可能性がある彼女を、抹殺するという意見。そしてもう一つは、魔 王と同等以上の力を持つ彼女を、魔王と戦うための戦力とするという意見。  彼女にとっては、どちらも残酷な選択であった。結果としては後者が選ばれた。  彼女は、戦場に立たされた。迫り来る魔物達を彼女は、自分の持てる力を駆使し、蹴散らした。  彼女の力はやはり強大であった。次々と魔物を倒し、戦果を挙げた。  彼女が戦場に投入されたことによって、戦況は大きく変わった。魔王側優勢から、両軍均衡へと、移り変わっていったのだ。  人々は、彼女を勇ましき者、勇者と呼び、 褒め称えた。  しかし、そこからは問題だった。両軍の戦力が拮抗したことで、戦いは泥沼化していった。  終わりの見えない戦いに、連合軍側の士気は下がっていくことになった。  連合軍はこの事態を重くみて、とある決断を下すことなる。
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