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女子生徒はと言うと、皆、しらけていたが、「皆さ~ん!静かに!」と美人教師が再び注意すると、男子生徒たちは例によって、「は~い!」とお茶らけて返事して静かになった。
「兎に角ね、皆さん、食べ物を粗末にすると罰が当たりますから、お百姓さんが汗水たらして作ったお米を一粒も粗末にしてはなりませんよ。分かりましたね」
「は~い!」と男子生徒たちが半ばふざけて返事する中、どうしたことか、ひょうきん者だけが神妙な表情になって美人教師を見つめている。
それに気づいて美人教師ははっとして言った。
「どうしたの?もう席に戻りなさい」
そう言われてもひょうきん者は何かに取り憑かれたように無言のまま美人教師を見つめている。
「ど、どうしたの?」と美人教師が怪訝そうに念を押すと、ひょうきん者は普段、紙切れのように軽いのに鬼のように重くなっていた口を開いた。
「あ、あの、僕、感動してるんです」
「感動してる?何に?」
「あ、あの、先生の殊勝な言葉とその純粋な心が現れたようなき、き、綺麗な先生の目にです」
ひょうきん者がそう吐露した途端、教室の方々から、「ひゅー!ひゅー!」と囃し立てる声が上がった。
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