193人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕なら君の望むこと何でもしてあげるよ」
「キモいこと言ってんじゃねーよ、チビメガネ!」
バンッ!とテーブルを叩く音と同時に二人の前に現れたのは瞬平だった。
「しゅ、瞬ちゃん……」
「瞬ちゃん?フレディー、誰なのこいつ?」
フレディーは驚きのあまり身を縮めて返事ができない。
「フレッドごめんな。外見で判断しちゃいけねーと思って我慢して話聞いてたんだけど、こいつのどこがいいの?外見も中身も最悪じゃん」
「ち、違うよ。今は別れ話だからそう見えるだけで……」
「じゃあ別れるのやめる?」
「や、やめないけど」
別れたい彼を頑なに庇おうとするフレディーは恥ずかしいのもあって、瞬平の目を見ることができなかった。
「これは二人の問題なんだ。君が誰か知らないけど邪魔しないでくれない?」
「あんた……光ちゃんだっけ?フレッドはさ、あんたと別れて俺と付き合いたいんだって。な?」
瞬平は立ったまま、アルマジロみたいに小さくなってイスに座るフレディーを見下ろす。言葉じりはきついのにフレディーに向ける目は穏やかで、柔らかな毛布にくるまれているような居心地がする。その目を見て泣きそうになるが肯定も否定もできないフレディー。
最初のコメントを投稿しよう!