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「瞬ちゃんがそれでいいってゆーなら。でも彼女とかいないの?いなくても好きな人とかさ……」 「いないね。できたらそれはそのとき考えよう」  フレディーは心に決めた。自分に夢中にさせて他の女も男も瞬平には決して近寄らせないと。  獣のように鋭く澄んだ瞳で瞬平の背中を見つめながら、彼を射止める構想を練ると楽しくてしょうがない。こんなにワクワクしたのは、保育園の遠足前夜以来かもしれないとほくそ笑んだ。  狩りを楽しむどこぞの王族のように気高く美しい顔から放たれる視線が、瞬平の全身に絡みつく。  瞬平は何かを感じ取ったのか、ぱっと振り返りフレディーの笑顔を見つめる。その笑顔によこしまな思いが隠されているとは知る由もなく、穏やかに微笑み返した。 「まあ、よろしくな」
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