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2.エクアドルの憤怒
ひんやりと凍えるような風が、開け放たれた窓から入り込みおでこに当たると、眉毛の下辺りまで垂れる髪の毛がぶわっと額に張りついた。もうすぐ一年生も終わりだというのに、まだ残るこの寒さはどういうことかとブルッと体を震わせながら窓を閉める。
フレディーと再会して二ヶ月ほど。二人の間に何か特別なことがあったわけでもないが、もうすぐ春が来るというだけでほんの少し心が弾んだ。
「瀬ー尾ー!」
放課後、いそいそと帰り支度をしていた瀬尾瞬平に声をかけてきたのは紺野夏希。同中、しかもバスケ部だった彼女だが、同じクラスになったのは中学校合わせても今回が初めてだった。
「今日部活ないんでしょ?友達とランチして遊びに行くんだけど一緒にどう?」
「ごめん、用事ある」
間髪いれずに断られた夏希は首をかしげる。
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