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約束
オレは、ひろみと結婚したい。
そんな思いからオレは停学期間を
利用して、おやじたちに
ひろみとの結婚を認めて
もらうことができた。
そして今では、両親の公認の仲に
なったオレたち。
オレは、今とても幸せだった。
しかし、現実は…。
まだ、高校生で学校停学の身。
夏休みの宿題に追われています。
「この英語の宿題、わけわかんねぇよ」
「文句を言わないの!
ぼやいているヒマがあったら、
文章問題一つ解けるわよ」
「まったく、カメレオンババァの授業は
退屈だし、わけわかんねぇよ。
おまけに宿題も難しいの出して
いい迷惑だぜ」
「拓哉、少し休憩しょうか。
イライラしていると
解ける問題も解けないから」
「やった!助かったぜ」
「拓哉の英語の担当の先生は、
あたしの担任だから、
コツをつかめば解けるんだけどな」
「しかし、おまえも
カメレオンババァの授業を聞いていて、
よく一番が取れたんだから驚いたぜ。
カメレオンババァの英語は、
彰でさえ苦労しているんだからな」
「彰くんが?」
「あぁっ、彰はクラス委員でも
あるんだよ。勉強もクラスで
トップの成績を取っている秀才だよ。
いつも冷静で、一歩先を見ていて
考え方も大人だしな。
テストの成績も、学年で
毎回10番以内に必ず
入っているんだからな」
「その秀才の彰くんとケンカで
停学になったのは、なぜかしらね」
「それを言うなよ。本来だったら
有り得ないことだったんだぜ」
ひろみが、英語の専攻でよかった。
オレ、いつも英語の宿題が出ると
ひろみに教えてもらっていた。
そして夏休みの宿題の難しいの
なんのって、オレ自身は
四苦八苦しています。
他の宿題は、なんとか終わったのに
ほんとにまいっています。
「ひろみが学校で
教えられたらいいのにな」
「まだ先になるわよ。大学に入って
初めての夏休みだから」
「いいよな。大学生は、
夏休みの宿題が出ないんだから」
「その代わり、来月は前期日程の
テストがあるのよ。
自分で時間割を決められる
代わりにテストは厳しいのよ」
「それって、赤点とかあるわけ?」
「当然よ、大学って結構シビアよ。
60以下なんだから」
「えーっ、60以下なんて厳しいじゃん」
「でしょ?確か、うちの高校の赤点は
30以下だから、まだかわいいもんよ」
「高校の授業でさえ厳しいと思って
いるのに、上には上があるんだな。
あーぁ、ますます落ち込みそうだぜ」
「拓哉、めげてないで問題解いて」
「はーい」
あーぁ、大学生もいろいろ
苦労があるんだ。
しかし、不思議だな。
高校なんか行かないと
思っていたオレが高校に入って、
しっかり高校生やってんだからな。
ほんとに我ながらよくやっているぜ。
「ひろみは、何で英語専攻の大学に
行こうと思ったわけ?」
「きっかけは、中学2年生から
始めた海外ペンパルなんだ。
その友達とは、
今でも文通続いているんだ。
最近ではそうね、
彼氏の話題が多いかな?
それで、お互いの彼氏の写真を
見せようってなって、
拓哉と一緒に撮った写真を送ったの。
そしたら、彼女が拓哉のこと
かっこいいって書いていたの。
そしてこれが、あたしのペンパルの
キャサリンと彼氏のマイク。
二人ともお似合いでしょ?」
「へぇー、いい男じゃん。
彼女もかわいいし、言うことなしだな」
「でしょ?それでね、いつかは
キャサリンが住んでいるアメリカに
行ってみたいなって夢ができたの。
それで、英語の勉強をしなきゃって
思ったの」
「そうか、いつかその夢が
かなうといいな」
「でもね、やっぱり行くなら
拓哉と一緒に行きたいなって
思っているんだ」
「いいんじゃない。
二人で行くのも悪くないな。
どうせ行くなら、新婚旅行で
行くこともできるぜ」
「拓哉もそう思う?うれしい」
茶目っ気をたっぷりに話すひろみに、
すっかり気持ちが和んだオレ。
こうして、二人が一緒に
暮らせる日が来ないかと
夢を持つようになっていた。
「やっと片づいたぜ。
やっぱり、ひろみに宿題を
見てもらってよかったよ。
ありがとう、ひろみ」
「これで、うまくコツを
つかんでくれると
うれしいんだけどね。
ひとまず、夏休みの宿題が
全部終わってよかったわね」
「そうだな」
「拓哉、遅くなってしまったわね。
家のほうは、大丈夫なの?」
「おやじには、行き先を
告げていれば何も言わないよ」
オレはそう言って、
ひろみにキスをしていた。
ひろみが愛おしくてたまらない。
このまま、ずっとひろみを
抱きしめていたかった。
「ひろみ、必ずおまえを
幸せにするからな」
「拓哉、うれしいわ」
オレは、ひろみを腕の中で
抱きしめていた。
やっぱり、ひろみを抱きしめていると
オレは安心する。
ひろみ、おまえはオレの
たった一人の愛しい女だよ。
「拓哉、私は幸せよ。
あなたに出会えて、愛されて幸せよ」
「オレも、おまえが愛しいんだよ。
こんなにも、おまえを愛していたい。
もう、心も体もつながっていると、
どうしても、それを確かめようと
している。もうオレたちは、
離れられないんだよ」
「拓哉」
オレとひろみは、離れられない。
何があっても、引き裂けない
強い絆で結ばれていた。
「ひろみ、オレが迎えに行くまで
待っていてくれ。
だけど、長くは待たせない。
自分の芝居の力を必ずつけて
みせるから待っていてくれ」
「はいっ」
オレとひろみは、
強い絆で結ばれていた。
こんなに愛していたい女性に
巡り合えたオレは幸せだ。
オレは、ひろみが恋しくて愛しい。
必ず芝居の力をつけて、
ひろみを迎えに行く。
ひろみの待っているという
言葉を信じて頑張っていこう。
「拓哉、愛しているわ」
「オレも愛しているよ」
オレは、ひろみを
抱きしめていたままキスをした。
お互いにキスだけでは足りない。
だけど、くちびるを重ねあって
心をつないでいたい。
言葉じゃなく、心も体も
つながっているのがわかるからだ。
ひろみ、おまえはオレが
必ず幸せにしてみせる。
オレは、ひろみを腕の中に抱きしめて、
自分に言い聞かせていた。
オレのたった一人の愛しい女性。
ひろみの他に女はいらない。
オレにとって大切な愛しい女性を
必ず幸せにしてみせる。
「拓哉、あたし待っているから」
「ひろみ、ありがとう。
必ず迎えに行くからな」
ひろみが愛しい。
たった一人の愛しい人を
必ず幸せにしたいとオレは、
ひろみを抱きしめてそう思った。
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