2・恋は突然に

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不躾(ぶしつけ)で申し訳ないが,そなたの名前を聞かせてもらってもいいだろうか?」 ところが,わたしが彼の名前を訊ねる前に,わたしの方が名前を訊かれた。 「ああ,はい。イライザ……です。イライザ・バルディ。皇后アン様のお部屋係をさせて頂いています」 「歳は?」 「十七歳ですが。……あの,あなたのお名前は?あなたは一体,何者なんですか?」 わたしの問いに彼は答えず,わたしの(そば)から立ち去ろうとする。 慌てて「待って!」と呼び止めると,彼は一瞬だけわたしを振り返り,これだけ答えてからまた行ってしまった。 「俺の名前はレオンだ。また会おう,イライザ」 「レオン……様?」 皇帝陛下とお名前が似ている気がするのは,わたしの考えすぎかしら? あの方のお名前は,レオン様。なんだか不思議なお方だった。 それにしても,「また会おう」ってどういうことかしら? わたしはその次の瞬間,ナタリア様のお使いを思い出して慌てふためいたのだった。
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