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「でも、だめね。嫉妬で心がどうにかなりそうになる」歌も言葉も絵も、世界を広げる為にあるわけじゃない。
「この広大無辺な世界の、たった一片を切り取る行為に過ぎない……」
あの人の声を思い出し、私は唾を飲み込む。
気付いてしまったら、後は心を平静に保って砂利を踏みしめるだけだった。
遠くから聞こえる地鳴りの音が、今日は希望の音に聞こえた。
カメラのフラッシュに満ちたライブ会場より清々しい青空の下、遮断機が下りる。私は丘公園を見上げた。
過去から現在までを過ぎ去る記憶の中で、ざくろの実が割れるように光が差し込む。なんて万能の光だろうか。私は胸をどきどきとさせた。
歌っている時より気持ちいい。
星月夜を想像している時より柵もない。
軽くて、やわくて、「私は今まさに心と体に従って行動している」と実感する。自然界ではいつもそれが正しい。グレースケールの世界じゃない。ピンク色のスカートを靡かせたフラッシュガールの時より隅々まで満たされた感覚。
光だわ。
おじさんが好き過ぎて、私はターンする。世界は私のためにある。
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