世界は終わりそうにない

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 私は、噂話や怖い話は信じないようにしている。 「南町の丘公園、地縛霊が出るらしいよ」 「地縛霊?」 「気を付けなよ。由佳ってナンパされやすいじゃん。憑かれちゃうかも」 「なによそれ、もう」  だって、こんな心無い一言を簡単に言ってしまうような友達ほど怖いことってないと思うから。彼氏が私と浮気をしていたということらしいが、そんな噂を信じちゃうほうがどうかしている。  みんながペットボトルを手に一斉に立ち上がる。 「じゃあ、後半戦もじゃんじゃん売ってこう。目標、ひとり五万だよ!」  おー!という掛け声と共に、無駄話は終わる。人の好奇心なんてそんなもの。ピンクのスカートを翻して、私達はパイプ椅子を並べただけの休憩室を後にする。いくつものフラッシュに焚かれながら、私の頭の中では灰色の渦巻だけがぐるぐると渦巻いていた。  フラッシュガール。気が狂っているくらい魅力的な女の子、という意味で、私達のグループ名を自称ファン達は片手を突き上げて連呼する。フラッシュガール、フラッシュガール、私の心も写真機の中で霧散させながら殺してくれればいいのに。 「みんな、大好きだよ――!」  うすっぺらい白い光の中で、私はくるりとターンする。
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