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狩りが終わり、できた傷も癒されてきた。
家に帰ろうと、人が多い道を早足で歩く。騒がしいな…どうしたんだ?
「あの家…なんだか臭くないかい?」
「まったく…生ゴミやらを放置しているのか?」
あの家とは…私の家か?メイド達がいるはずだ。掃除は絶対にしてある。
この異臭はなんなんだ?そんな事を思いながら裏門から中に入る。
そこには想像とは違った場所になっていた。
人の腕やら目玉やらが、庭に血と共に転がっていた。
「!?…う、ゴホッ…!おえ…ッッ」
何故…?あ…瑠加、瑠加は…?
瑠加の事が心配で、血を踏んでも、目玉を踏み潰しても家の中に入った。だが、またもや絶句する事が起きていた。
そこは糸で張り巡らせられていた。嘘だろう?人食い蜘蛛が、家の中に入ったのか…?
ホールには無数の繭やら、おそらく蜘蛛の唾液やらが散らばっていた。
母上と父上は…部屋だろうか?抜かした腰を浮かそうと足に力を入れようとした瞬間、音がした。
カサカサ グチャ…パキッ…
なにかが擦れ合う音や、なにかが折れる音。
私はすぐに察した…まだ家の中に人食い蜘蛛がいると。その音は瑠加の部屋から聞こえる。
瑠加を…食べているのか?
駄目だ…やめてくれ…駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だッッ…
瞬間、頭の中で糸が切れた。腰が抜けていたが、無理やり立った。蜘蛛糸が体に巻きついたが知らない。瑠加が…もし、食べられていても…仇は私が…俺が討ちたい。
扉を勢い良く開けた。
「瑠加ッッ!!!」
瑠加の部屋には水たまりになっている血と、おそらく母上と父上だった肉片が散らばっていた。母上の着物…父上の着物の模様の布が散らばっているから。
肉を貪っていた男は、背中から無数の虫の足が出ていた。こちらを振り向いた…。
「あ゙あ゙…あ゙…」
「え…?る…、か…?」
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