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人食い蜘蛛の正体は瑠加だった…?
いや、瑠加は人間だ…なら、噛まれたのか?
「る、か…わ、私が…分かるか?」
「あ゙あ゙ッッ…!!!!」
瑠加は叫びと同時に私の腕に噛み付いてきた。激しい激痛と、瑠加を守れなかった絶望で痛かった。兄なのに…!お前を守れなかった…!
「ッ…瑠加ぁ…すまない…私が…守ってあげられなくてッ…!!」
噛まれたであろう、首についている傷口に口付けをする。苦い血が口に入ったが、気にしない。
「あ゙、あ゙…に…ゔ、……え…?」
「!!瑠加…!瑠加、意識が戻ったのか!?」
「あに…うえ、お、俺は…なん、て事をッ…!」
弟の瞳から赤い涙が流れた。泣いているのか…?
「あにうえ、のッ…御髪が…白髪(はくはつ)、に…な、って…」
「ッ…ふふ、大丈夫だ…お前の血を分けて、もらったんだ…。お前の辛さを分けておくれ…。」
私の背中に虫の足は生えていないが、半人間、半人食い蜘蛛になっていた。
大丈夫、お前だけが化け物になんてならないさ。兄もお前と共にあろう。
「あ、兄上…腕がッ…!申し訳ない!本当に…本当に…ッッ」
「こんなの、痛くも痒くもないよ。止血を…してくれるかいッ…?」
「あ、ああ…。」
弟が無数の虫の足で器用に、布やら包帯やらを運んできた。
「…もう、この家にはいれないな…。」
「…蓮の国へ行かないか?あそこはモノノ怪も…暮らしている。行くには…道のりが辛いが…。俺が兄上を守る。」
「ふ…明日に備えて、もう寝よう。血なんて気にしないさ…さあ、おやすみ。」
母上、父上との最初で最後の眠りですね…。こんなにも無心でいられるなんて…。良かったです、あなた方が私に、愛情を注がなくて。
しかし…こんな事になろうとは…。モノノ怪は今まで見てこなかった。
誰かが仕向けたのか?なんのために?
身分は高い方だが、国のトップではない。
まぁ、ともあれすぐに見つけて首をはねてやる。瑠加を…こんな姿にしたまま生きれると思うなよ。
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