美しき兄弟は

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「瑠加、この箱に入れるか?」 私の身の丈の少し大きい箱を持ってきた。 「ああ、体の大きさを変化できるようだ。」 瑠加はそういうと、小さくなり箱に入った。箱には背に背負える布紐がついている。これなら、モノノ怪だとバレないだろう。 「兄上、くれぐれも気をつけてくれ。俺は小さくなるために大分、力を使うようだ…。日中は寝る。夜になったら出してくれ。」 「ああ、分かった。」 動きやすい着物に着替え、裏門から出た。まずは、どうしたら良いだろうか。 蓮の国へ行くためには4つの国を跨がなければならない。氷の国、翠の国、日の国、蘭の国。私が今いる、この奏の国に1番近い国は、翠の国だ。名前の通り、翠色の髪や、瞳の者が多い。 基本、穏やかな国だが、最近国のトップが変わったため分からない。 日差しを受けると、何故か体が痛くなるため、和傘を差す。長い髪は切り、目元は赤で塗った。これで顔は隠せるだろう。身分が高いため、誰かにバレるという事は少なからずある。まぁ、私は長男だが、社交はしていない。大丈夫であろう。 海の近くに着くと、船があり大勢の人がいた。翠の国行きの船に乗り、椅子に座る。 外から見える人々は、手を振っていたり涙ぐんでいる者もいた。 「…この国の外の世界は、どうなっているのだろうか。私は、間違っていないだろうか。」 1人で呟きながら、目を閉じた。
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