クリスマス、爆発しろ *12月*

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 ドアから、穏やかな話し声が漏れてくる。  窓から、キャンドルの灯りが漏れてくる。  街はお祭り騒ぎだ。  首都の中枢神経である大通りは街路樹を両脇に従え、広がる景色を鮮やかな光の海へと変えている。 「何がどうして」  私は握りしめた拳を胸に当てると、大通りから外れた廃墟同然のビルの片隅でぽつりと呟いた。  ライトが当たらない所にいるからこそ、数メートルしか離れていないイルミネーションの輝きが眩しい。だからこそ、自分の居る場所が、闇のように暗く深いことを思い知る。 「どうして、こんな日なんだろうね」 「おや」  さも不思議だと言わんばかりに彼は私の顔を見返した。  影に隠れて辺りを窺っていたという理由だけでなく、彼が身に纏う墨色のモッズコートは闇に同化している。その上には、日陰を歩き慣れたネズミのような顔がくっついている。 「何がどうして」  緑と赤に彩られた、年に一度の日。  目の前に曝されたきらびやかな輝きは、余裕さの表れで、明らかに自分が嫉妬しているのを奥歯で噛み締める。  彼のような飄々とした表情を作れない。まだまだ未熟者だと観念したくなる。 「……なんで、こんな日に級友と再会するかな」
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