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聖戦後日譚
人体と妖怪の身体では飲食物の成分の処理が異なっており、例えば人間にとってはただの弱めの炭酸飲料だとしても、妖怪には強めのアルコール飲料に感じられてしまうのである。
そうとも知らずにシャンメリーを飲んでしまった後輩座敷わらしは頭を殴られたと思うほどの頭痛と酔いに支配されてしまい、飲んだ後は5分と持たずに壁にもたれかかって寝息を立ててしまった。
そして翌朝に目を覚ました座敷わらしが聞いたのは、外部から「サンタさん」なる者がこの家庭に侵入したということだった。先輩が言っていた通り子供にプレゼントを置いていったようで、子供が喜んでいるから両親も通報をするまではしなかったようである。そこはしっかり警察に対応してもらわないと再犯の可能性もあるので、代わりに電話してやろうかと思ったが止めた座敷わらしだった。
座敷わらしたちは昼前に再び公園に集まった。
「そうか、お前も寝てしまったのか」
「まさかあれが劇薬だとは思いませんでした……。人間はよくあんなものを飲めますね」
「こっちでは父親がまたすごいのを飲んでいてな、私は匂いを嗅いだだけでフラフラしてしまった。しかしあのフライドチキンというものはおいしかったな。ケーキも……うん、また食べたいぞ」
「ああ、先輩がどんどん人間の文化に飲み込まれていく……」
ベンチで頭を抱えてしまう後輩座敷わらし。隣では先輩座敷わらしがよだれを垂らし、頭上ではキジバトがのんきに鳴いていた。
「先輩、次こそはサンタナントカって奴を立ち入らせないように、今から入念に対策を立てていきましょう。子供が喜んでいますが、どうあれ不法侵入です。犯罪です。然るべきところで裁きを受けるべきでしょう」
「……残念だが後輩よ、我々にそのような時間は残されていないのだ」
「ど、どういうことですか」
生唾を飲み込む後輩。先輩座敷わらしは意味もなく声を潜めて告げる。
「あと二か月後、我々はチョコレート菓子を送り合わねばならない使命が来るのだ。もしこれを逃せば、我々の仲が引き裂かれてしまうという恐ろしい呪いが降りかかるという……」
「そんなぁー」
時代は進み、妖怪たちも覚えなければいけないものが増えた。彼女たちが人間社会に溶け込めるのは、もう少し先のお話だ。
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