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 付き合うようになってしばらくして、あいつに好きだったならどうして告白してこなかったか聞いてみた。最初は渋って言いたくなさそうだったが、私が引かないと分かると根負けしたように話してくれた。 「お前が言ったんだろう。自分より何でもできる相手が好きだって」 「そんなこと言ったっけ」 「言ったんだよ。だから、勉強も運動もお前より出来るようになって勝って告白しようと思っても、次で負けちまって言えなかったんだよ」  こちらを見ずにぶっきらぼうに告げられたが、耳が赤くなっていて照れているのがバレバレだった。思わず「ふふっ」と笑ってしまうと小突かれた。どうやら、あの意地の張り合いのきっかけを作ってしまったのは私だったようだ。  それから、やっぱり意地の張り合いをしたり喧嘩をしたりいろいろあったけれど順調に交際を続け大学を卒業する年になった。  あいつは、卒業に合わせてプロポーズしてこちらを感動させようと色々と計画しているようだ。最近なかなか会えない不満をあいつの友人にもらしたら、こっそり教えてくれた。告白が私からだったから、今度こそ自分から言うと意気込んでいるらしい。  私たちの意地の張り合いはまだまだ続くようだ。
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