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怜はコップを受け取ってサイドテーブルに置くと、私の肩を押してゆっくりとベッドに押し倒した。
上にまたがってきたので下から彼を見上げる形になる。彼の顔が近づいてきたので目を閉じると、額にそっと唇が触れるのを感じた。
それからこめかみ、目のふち、頬、首筋へとその唇が降りていった。 ゆっくりと、細かく、私の体のあちこちに怜の唇がキスを落としていく。
「怜……?」
私はもう満たされたのに、どうしてこんなに時間をかけているんだろう?
私のそんな疑問を読み取ったのか、怜が微笑した。
「ここに理佐がいるって、本物がいるって、確かめているんだよ」
「本物?」
「ん。ずっと妄想を抱いてきたから」
「ちょっと、私の妄想に何してたの」
「本物を見たら忘れた」
「なにそれ」
怜が妄想の話をするのはこれが初めてじゃない。でも、これを最後にしたい。
笑いながらも手を伸ばして怜の頬に触れる。
「これからはずっと一緒だから。もう妄想はなしね?」
怜は一瞬目を見開くと、「ああ、そうだな」 と答えた。
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