もう離れないで

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一通りキスの雨を降らせると、怜は私の指に自分の指を絡めてから軽く唇に触れるだけのキスをした。 「理佐」 「なに?」 「ありがとう」 「何が?」 「俺と、出会ってくれて」 「ヤダ、それ私のセリフだよ」 珍しく甘いことを言われて照れながらも、何だか目が潤みそうになる。 スペインを南に向かって旅していたあの時、小休憩でバスを降りていなければ。 たとえ同じ会社にいたとしても、取締役常務と契約社員ではすれ違ってもおそらく視線すら合わせることはなかっただろう。 「怜と、会えてよかった……」 「さんざん待たせたけどな」 「うん。でも絶対にあきらめないって決めてたから」 一瞬泣きそうな顔をしたかと思うと、怜は私に覆いかぶさるようにしてまた口づけてきた。 「んんんー」 今度はさっきまでの軽いキスじゃない。私の舌を彼の舌がもてあそぶようにかき回してくる。 そのままキスはどんどん深くなり、一方で彼の自由な方の手がバスローブの隙間から入り込んできてまるで張った弦の上を滑るように私の肌をなめらかに滑る。 それだけでもう体の芯がじわじわと感じ始めているのに、さらに彼の指は私の胸の高みに届くと初めは優しく、次は少し強く、弾くようにもてあそび始めた。
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