栃木 1 あなたが好きだった

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 「会うのはやめておきます。   たぶん気持ちが揺らぐから。   母はなんとか持ち返し、   命は繋いでくれました。   毎日、メールを有り難う。   挫けそうな気持ちが救われました。   ありがとう・・・   ほんとにありがとう・・・。   でも、大学はやめて   大阪へ戻ります。   アメリカには行けません。   二人の時間を続けることは   出来ません。   話し合えば・・・何か他の   選択があるのかもしれません。   でも、いい加減な約束をして   互いの負担になるよりも   別れたほうが良いと・・・、   最善策なのだと勝手に決めて   しまいました。ごめんなさい。   私にとって母が唯一なら   あなたにとって   『世界一の建築家になる』   その夢は、唯一です。   この数年の努力があるから   今回の留学も手に入れた亮太、   子供の頃からのあなたの夢は   唯一の宝です。それを私が   傷つけることは、あなたを大切に   してきた自分を傷つけること。   心を自由にして新天地で   今まで以上に頑張って下さい。   いつか見た、あの立派な建物に   負けないものをあなたが   造ってくれたとき、それが   この寂しさをきっと、   褒めてくれると信じます。   幸せな時間をありがとう。   好きになってくれて   ありがとう・・・・・。」        
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