栃木 2 雨が降らなくても

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「私、バスケットボールの部活で  怪我してレギュラーを落ちたことが  あったでしょ?」 娘も母親とのことを思い出したのか 口を開いた。 「『私は要らない存在になったんだ』  ってお母さんに言ったら、  次の日にはここで  『要らない川なんかない!』  お母さんに怒鳴られたわ、ふふふ、  お母さんってめったに  感情的に叱ったりしない分、  説得力があったなあ・・・」   「そうだね・・・  『雨が降ろうと降るまいと』  お母さんの・・・  お母さんの・・・・口癖だったね」 息子が涙もろいのは妻に似ている。 どんなことでも感動したら 素直に表現出来る人間であった妻。 いつかこの河原で 関西訛りの恋人同士に 写真を撮って貰ったときも 『モデルさんみたいに  綺麗な御二人ですね』 と、面と向かって二人を褒めていた。   
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