栃木 3 君と僕との物語

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遺体のない通夜の席、 君は白の喪服で座っていた。 ー夫に殉ずるー その証のままに 凛と背筋をのばして座る君のそばに 乳呑み子の邦子と、 がっくり肩を落とした僕の両親・・・。 葬儀が済んで弔問客が帰るまで 涙一つ溢さずにいた君が 深夜の大山参道で 泣きながら呟いた・・・。 「待ってるよ、邦彦さん  ずっと待ってる・・・邦彦さん」 貴子・・・貴子・・・ 君を抱けぬ悔しさを、 魂だけ戻った僕の慟哭を、 いったい誰が 解ってくれると言うのだろうか・・・。 そして、 これから君がする苦労を思うと 歯痒くて、情けなくて たまらなかった・・・。
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