岐阜 1 さよなら旅行

3/11
前へ
/53ページ
次へ
32歳、地方公務員で安定収入、  「そう言う女は妻子持ちには   ヒッカかったらアカン❗   ダラダラダラダラ長引いて、   引き返したいときには四十前❗   そこから新規の男っていうても   おんなじような妻子持ち、   繰り返して泥沼やで」 同級生で弁護士稼業の優子に 忠告されたのは 佐久間と知り合った頃だった。 会うたびに、佐久間の話題になる私を 制すがゆえの忠告と、 気づいていたけれど ・・・・・・・遅かった。 役所に出入りする企業の営業マン。 営業だけあって、佐久間は口が巧い。 優子と同じ生粋の関西人だから 軽妙に人を笑わせるのに長けている。 機密事項だらけ役所では 男女ともに口の重い人間ばかり。 ましてや、私みたいに 小さい頃から転校ばかりの果ての ”にわか関西人” では 楽しみなど見出だせない職場で 週に二回ほどやって来て 芸人みたいに軽口を叩く佐久間は 寛げる存在で、  「偶然ですね、ちょっと一杯   どうですか?」 と、誘われて、  「僕、転勤で兵庫エリアに   なりますねん。携帯の番号、     入れてもいいですか?」 簡単に番号交換したら最後、  「うん、結婚してるねん。   もう5年、6年、ハハハ   忘れてしもたわ」 あっさり白状されたときには ・・・もう・・・・ 佐久間なしの生活には 戻れそうなかった。   
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加