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鵜飼いの賑わいの他は
何も聞こえない部屋で、
しばし無言の二人・・・。
「ヤメル理由、なに？」
地酒を二杯、グイグイと呑んで
こちらは見ずに佐久間が言った。
「なんとなく」
「なんとなく？」
「なんとなく・・・ふふ
なんとなく、始めたから
なんとなくヤメル・・・かな？」
「なるほど・・・」
またしばし無言・・・。
「明日・・・言うて欲しかったなあ、
今夜はゆっくりとＨなことを
楽しみたいと思ってたのに、」
「ハ」と笑いかけて佐久間が
珍しく真面目な顔をする。
「しんどなってきたか？関係」
「そうやねぇ・・・」
「別の男ができたとか？」
「どうかなあ・・・」
また無言・・・。
「なんやろなあ・・・
俺、いい加減な男やのに、
“これ、オシマイ旅行”とか
言われてショック感じてる」
「ん・・・ごめんねぇ」
「ちょい、外の風にあたって
酔いを醒ましてくるわ・・・」
煙草を持って出て行った佐久間の
残した扉を閉める音、大きかった。
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