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(……待ってっ…)
瀬良はハッと顔を上げるとどこからか声がすることに気がついた。
それまで組んでいた手を解くと大きく首を振り耳を澄ませる
(…………誰かっいるから)
また聞こえた!
どこからだ…声はかすかで苦しそうだ
病気?もしかして怪我でもしてる?
(…っん゛……ぁあ……)
めっちゃ苦しそうな声……トイレからだ
トイレに近づくにつれて声は大きくなっていった
またそれに比例して心拍数も増えていった
たった一個しかない個室の前に立つと瀬良はノックを2つした
「大丈夫ですか?」
瀬良がそう声をかけると中から息を飲む音が聞こえた。
「あの…苦しそうな声が聞こえたんですが、まさか怪我とか…」
(…んん゛……)
また苦しそうな声…もう返事すら出来ないのかこの人は!
そう思った瞬間、瀬良はドアノブに手をかけていた。
「…すみません!開けますね!」
……ガチャ
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