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エピローグ
一年後、僕たちはまたあのイルミネーション前で待ち合わせしていた。
「お待たせ~」
「行こっか。」
「待って!ちょっとその前に
言わなきゃいけないことがあるの。」
「どうしたの?」
「お父さんの仕事の都合で私も
ロンドンへ行かなきゃいけないの。
だから、デートは今日が最後かも。
明後日には出発するんだ。」
「…そんな」
「突然だけど、ごめんね…」
彼女も少し涙ぐんでいた。
それを見ていると、僕まで
涙がこぼれてきた。
「君がどこに行っても僕は、
忘れない。」
僕は精一杯に震えた声でそう言った。
「うん…。次会えるのはいつか
わからない。私も忘れない」
「だから…「さよなら」なんて
言わない。」
「必ずまた会えるって私、信じてる。」
二日後、彼女はロンドンへ
向かった。でも、僕の心から
彼女の存在が消えることはない。
この日も雪降る寒い夜だった。
僕はまだあの青いマフラーを首に
巻いている。
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