101人が本棚に入れています
本棚に追加
ジュルジュルと、風呂場に響く音さえも、簡単に清和を追い上げる。
震え出した内腿に、清和の限界を悟った参大が視線だけを上げ、微笑みながらその内腿を柔らかく撫でた。そして清和自身を一気に吸い上げながら引き抜くと、舌と唇で締め上げながら喉元まで一気に銜え込む。
参大の慣れた追い上げに、ビクビクと跳ねる清和の腰が止まらない。
「つっっうっっ」
たった数回で限界は超え、清和の白濁は参大の喉へと流れ込んで行った。同時に、参大は大きく育っていた自身を、先程まで清和を触っていた手で数度慰めて、あっという間に洗い場に放つ。
「はぁ」
一息吐いた後、参大は少し熱めのシャワーを出すと、行為の最中に再び清和に移ってしまった泡を、丁寧な手つきで流し、自分の体を流すついでの様に、白く汚れたタイル床を流した。
「じゃ、僕は先に上がるね」
そう言って参大は実にアッサリと、茫然自失の清和を置いて風呂場を去って行く。
立ち込める湯気に混じる青い臭いの中、そのしなやかな背中を放心状態で見送っていた清和は、ピシャリと閉まったドアの音に我に返った。
(なんっっっっじゃっ! アイツわぁっっ)
声にもならない声で叫ぶと、もう一度湯船にザブンと頭まで浸かった。
「誰が、あんなヤツの面倒なんて見るかっ」
と、叫んだ今度の言葉は声には出たが湯の中で、誰が聞いたとしても聞きとれる叫びではなかった。
自分の中で何が起きたのか分からない。ただ、あの柔らかな印象の男に、うやむやに流されたのだけは分かる。
波立つ心が抑えられない。
初めて触れた他人の熱も、肌に直接響く鼓動も。
小さな細胞一つ一つに、刻み込まれたように、未だにこの掌に残っている。
今日の朝までは、こんな自分なんて想像もしていなかった。
時化のような急激な変化に、何もかもが付いて行っていない。
最初のコメントを投稿しよう!