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明らかに、他人の掌。
全身がビクリと恐怖に震えた。
――恐怖。
目の前の男に、嗜好を知られた恐怖。
手を伸ばされたモノの状況が示す、この先の恐怖。
そして、他人の熱を知ってしまう事への、恐怖。
固まっている間に、自身はヌルリと更に熱い何かに包まれた。それが参大の口の中であるという事を認識するのに時間がかかり、清和は抵抗出来ないまま、体を凍らせる。
「な……何して……」
自身の熱さとは反対に、背中にギクリと冷たいものが走る。
自分の足の間に顔を沈めている参大に茫然と呟いた言葉も、自分の口から発せられた声だとは思えないほど、弱い。
「ふぇあ」
清和を銜えたまま話す男の息が、直接自身の先と柔い下生えを擽る。
「わぁ! そのまま喋んな! つーか、放せよっ」
ゾワリと何かが這い上がる感覚に、急に頭が状況を把握した。
もとより、参大に「フェラ」だと行為ズバリを口にされているのだが。
清和は無我夢中で参大の髪を掴み、自身から放そうと抗うが、ツゥッと裏の筋に舌先を這わされて、ビクッと反射的に背筋を強張らせる。その一瞬を逃さずに、参大は再び清和へ舌を纏わせた。
一気にズッと音を立てながら、喉奥まで銜え込み、喉元でキュウっと締めつけられる。
「うっあっぁ」
思わず零れた自分の喘ぎ声に慌てて、参大の髪から手を放し、自分の口元を塞ぐ。
これでもう、参大をそこから離す事は出来なくなった。
「もぅっ、止めっ……ろっ」
せめて言葉だけでもと抗ってみるが、その声さえも甘く溶けだしている。
「そんな可愛い声出されたら、止めてあげられないなぁ」
一度口から離して顔を上げた参大と目が合うと、彼の唇から繋がる銀色の艶糸に、全身が赤く染まる。
「ホント、可愛いよね。清和」
「ふ……っ。うっ」
他人から与えられる初めての快感に、清和の息は簡単に上がって行く。どれ程、下腹部に力を込めても、その快感に抗える時間などしれていた。
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