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4 民家
瑞枝に降り注ぐ翠雨も止み、雲間に蒼天を覗かせる。
かぐや姫が千草の生い茂った段々畑の坂道を、黒い瞳を忙しなく動かしながら歩いて行く。
「外は清々しいのう。妾は生まれてこの方、爺の屋敷から出たことがない。外に出て見たかったのじゃ」
「確かに、そうでしたな」
翁と媼はそう頷くと、かぐや姫の影を追うようについていく。
そして光学迷彩して擬態化していた人の目には見えない月の船がゆっくりと追っていった。
ガサガサ・・・・・・
かぐや姫があぜ道の脇に生えている月見草の下から出てきた何物かを見つけたようだ。
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