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かぐやは、音骨を震し誰ともなく声をかけた。
私はかぐや姫の顔に赤い番傘を広げた。
私は雷兎(らいと)。かぐや姫の守役だ。
月の魔王に拝命賜り、剣兎(けんと)、雪兎(ゆきと)とともに守役をしている。
「姫、ここは別世界のようですな。あの虫は銀ヤンマ。蜻蛉の一種です」
「何? それは面黒いではないか」
―― どちらだろう? ――
別世界が面黒いのか、蜻蛉が面白いのか分からない。
そう、ここは別世界、かぐや姫に連れ立って我々もお供している。
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