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妹/紫苑/あかつき草子…6
一口食べてみる。
うわ、おいしい。これ、ここのチーズドック?
もしかして、特別にドラマ用に用意された物かな。
パクっともう一口食べる。
やん、おいしくて止まらない。
ぺろりと1本、食べてしまった。
えっと……この後、どうしてたらいいのかな?
蒼汰くんの出番は、いつあるのかな?
この場面て、どういうシチュエーションなんだろ。
「あー、君ね、ほんとはここのところで、あんまり目立ってもらっては困るんですよ」
あ、そういう演出プランがあるんだ。 やっぱり、私は出演者じゃないって言わなくちゃ。
「あのー、実は私……」
すると、カメラがある奥の方から、大きな体の男の人がこちらに来た。
「いいじゃないの。むしろ、ここでうまそうに食ってる女の子がいる。生きようとする主人公に希望を与える。
そっちの方がよくないか。あ、君ね、1本じゃ、すぐ食べ終わってしまうから、5本持ってくるから、
ね。それを今みたいに、うまそうに食ってくれるかな」
「え? ええええー!」
ど、どういうこと?
落ち着いて考えよう。
私はここで、役割をもらってしまったということ?
それも、私の食べっぷりを見込まれた? でも、あのおいしいチーズドックをもう一回食べられるんだったら、まあ、いいか。
ところで、蒼汰くんは、どこー?
そこへ、蒼汰くんならぬ、フルフェイスマンが現れた。
「お兄ちゃん?」
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