兄/量一/S.S…1

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兄/量一/S.S…1

「ただいまー」 入社して1ヶ月が過ぎた。 今日は待ちに待った初任給の支給日だ。 月30時間以内の残業、フレックス、土日休み。年間休日は140日! さすが一部上場企業の労働環境は申し分がない。 だって、こんな時間に帰ってこれるのだから。 腕時計は4時20分を指している。 両親と話し合った結果、今日は俺の奢りで食材を買って豪勢な夕飯にしようということで話が纏まっていた。 「紫苑ーー! 支度出来てるかーー」 玄関にカバンを置いて2階の自室にいるであろう妹に声をかける。外食ではないから、まぁ、いくら豪勢といえども「これくらいあれば大丈夫か」と、おろした財布の中身、2万円を確認する。 紫苑には話していないけど、今日は紫苑が食べたいと言ったものは迷わず買ってあげようと考えていた。 ーー足りなくなったらカードもあるし。 紫苑がにっこり笑って、ありがとうって言った顔を想像すると、それだけで嬉しくなってしまう。 財布をポケットにしまうと2階でガチャリとドアが開く音がした。
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