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妹/紫苑/あかつき草子…2
「え! バイク? ひゃーん!」
階段を軽やかに(ドタドタと)駆け下りると、スタッとお兄ちゃんの前に立つ。
お兄ちゃんは目尻を下げて、「しお~ん!」と頭を撫でてくれる。もお、私のこと、いくつだと思ってるんだろ。そして、するっと私の頭から足の先までチェックしたのがわかった。
「まあ、スーパーだから、それでいいか。前に着てたワンピース、似合ってたけどな」
あ……まさか、ピンポイントでそれ?
ファスナーが上がらないなんて、いくら私でも言いたくないなあ。
「いいの。あれは、また今度ね。でも、バイク? 久し振り」
「おお。気持ちいいぞお。早く早く」
急き立てられて、外に出て、バイクにまたがる。
「さあ、出発するぞ。しっかりつかまってろよ」
「うん!」
お兄ちゃんの腰に腕を巻き付けると、お兄ちゃんが私の手をポンポンと軽くたたく。
あ……二人乗りって、今まで気にしてなかったけど、けっこう目立つよね。こういう時に限って、見られるんだよね。久野クンに見られたりして。
巻き付けていた腕をするりと解き、引っ込める。
「ん? どしたあ?」
お兄ちゃんが体をねじって、後ろを向く。
「あ、えっと。買い物したら、荷物全部、入りきるかなあって」
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