序章

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今年の春の終わりに、私たちは袂を分けた。 調停が成立したのだ。 その7ヶ月ほど前、2018年に別居が始まった。最初はまだ1歳に満たない我が子を向こうの実家に頻繁に連れていくところから。 私たちは同じ職場で1年ほど働き付き合いが始まった。 最初はわたしが職場になかなか馴染めないのを心配して同期である彼女(仮に奈緒と呼ぶことにする)がわたしを仕事終わりに食事に誘った、そんなに珍しい事でもない。 わたしは中途入社、奈緒は大卒の新入社員として3週間ほどの集合研修を受けてそれぞれの配属先に辞令が出た。 最初の異動先が彼女のいる職場だった。 研修中に言葉を交わした事はなかったように記憶している。 彼女を含めた仲良し3人の女子グループが研修の打上げをきっかけに接点を持ったのがきっかけだった。 私が興味を持ったのは後に結婚する彼女ではなく、研修先からも私の住んでいるところからも遠く離れたところに住んでいた知子(仮)で、すっかり肩の力の抜けたわたしを含めた同期は意気投合し何度かわたしの地元で飲んだりLINEのやりとりをしてお互いに愚痴なんかを言い合うそんな仲。 わたし自身モテない訳ではなかったとは思う。ただ依存体質でいつも愛情に飢えていた。それが知子に対しても出てしまって関係は終わった。
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