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木暮さんは同い年であったが、大学には行っておらず、働く傍ら、こうして毎日のようにこのカフェに来ては詩を書いているらしかった。どんな仕事をしているかは聞かなかった。
その日以来、私と彼はちょくちょく話をするようになった。2人とも意外と好きな本の方向性が合うと分かってからは、話の内容は主に文学の話になった。文学部であるといってもまだ1年生の私に比べて、大学にこそ通っていなくても、彼はずっと多くの作品について知っていた。知識量は教授も顔負けで、私の知らない本に関しても、彼は穏やかな口調で、丁寧な説明をしてくれるのだった。他にすることもないバイト時間の暇つぶしにはもってこいで、私たちはいつかそうして話すことに夢中になった。
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