第2話 共食い

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第2話 共食い

リクの自室にて 「はあはあはあ、遂にこの時が来たのか。神様あと少しだけアイツらとの楽しい時間を過ごさせてくれ」 この時リクも18歳の誕生日が目前に迫り成長期の力によって抑制されていたキメラウイルスが成長期の終わりを迎える18歳に活性化して、正常な細胞遺伝子を破壊してイーターへと変化させてしまうのだ。 体中に赤い発疹が現れ脂汗をかきながら簡易ベッドに崩れる様にして横になる。 そして朝日が昇り集落を眩しく照らした。雀の鳴き声と清々しい空気に包まれリナ達が朝食の準備を始めた。 白い煙が立ちこめ味噌汁のおいしい匂いが俺たちの食欲をそそいだ。 しかしこの時、何時もなら真っ先に飛び起きてくるリクの姿ななかったので俺はリクの部屋へと向かった。 「リク朝ご飯だぞ」 俺が扉をノックするが返事がなかった。様子がおかしいことに気づきゆっくりと扉を開けた。 「リク居ないのか? 」 俺が部屋の中に入るとベッドでもがき苦しむリクの姿が目に飛び込んだ。俺は近づいて声をかけるが既に痙攣を起こしておりまともに答えられる状況ではなかった。 「リクしっかりしろ! 」 騒ぎを聞きつけたリナが慌てて部屋に入ってくるとその場で座り込んで泣き出してしまった。すると瞬く間に人が集まりリクの様子を見るなり悲鳴をあげた 「まずい、このままじゃイーターになるぞ」 「早く頭をやらないと大変なことになるぞ」 昨日の少年達がすぐに軍用ライフルの銃口をリクの額に向けると俺は銃を奪い取ろうとした。 「やめろリクはまだ生きているんだ」 「リョウも分かっているだろう? こうなったら処分するしかないんだ。どけ」 再び銃口をリクに向けた少年を観て俺は感情が爆発してしまい彼の左頬を思いっきり殴った。少年も殴られたことに腹を立て二人で乱闘を始めてしまった。 小さな子供達は泣き出し修羅場と化してしまい周りの年長者達に引き離され俺たちは鼻血を床に垂らしながら羽交い締めにされた。 俺たちが広場まで連れて行かれ周りに説得をされた。俺たちは1杯の水を飲み冷静さを取り戻したその時だ 「きゃ~~」 リクの部屋から叫び声が聞こえすぐに向かうと 体長約3メートル、全身紫色で構成され8本の足が生えた人面蛸のイーターが、腰を抜かしていた少年の身体に足を巻き付けて大きな口を開き少年を食べ始めた 「助けてくれ」 俺たちが部屋に着いた時には骨が砕ける嫌な音が響き辺りは血痕が飛び散っていた。 「きゃ~~」 惨状を目の当たりにしたリナは悲鳴をあげて腰を抜かしていた。 「リク、目を覚ませ俺だリョウだ」 俺は涙を流しながら必死に声をかけるが既にイーターとなったリクは意思がなく、ただ殺戮を繰り替えす怪物と化していた。 「どけ! 」 先ほどの少年がライフルをリクに掃射した。爆音とともに大量の薬莢が辺りに散らばり室内に煙が充満した カチカチ 「倒したぞ」 しかし、煙のが晴れるとイーターはダメージを全く食らっていなかった。するとすくんだ少年はイーターに捕食されてしまった。 「助けてくれ」 俺はすぐにリナの手を取り急いで広場まで走って逃げた。辺りは大混乱に陥り年長者組が建物の外に出てきたイーターに向けて一斉掃射を開始した。激しい爆音が鳴り響き煙が立ちこめた。 しかし弾丸はイーターの柔らかい身体に弾かれてしまい致命傷を与えることが出来なかった。 「やばい逃げろ」 だがイーターの素早い動きで次々と捕食されてしまい辺りは血の海となり収拾がつかなくなった。 「ミサイルを出すしかない」 自衛隊が残したミサイル搭載車を起動させイーターに向けて照準を合わせようとしたとき、背後からもう1体のカニの姿をしたイーターが現れ操作していた少年が襲われてしまった。反動によりミサイルが防御壁に向けて発射されてしまい ドーーーン 地響きが鳴り響くと壁に亀裂が入り崩れてしまった。すると壁の外にいたイーターの侵入を許してしまい餌を求めて俺たちの所へ一直線に向かってきた。 「おい落ち着け、みんなで固まって脱出するんだ」 俺の制止もむなしくみんなが迫り来る恐怖に泣き叫び我先にと基地を捨てて逃げてしまった。俺は震える細いリナの腕を掴んで脱出を試みたが逃げ遅れた俺たちは囲まれてしまった。 「怖い、死にたくない」 「大丈夫だ俺がリナを守る」 策があるはずもなく俺はリナを必死に勇気づけるが丸腰の俺は死を覚悟していた。 「リナ、俺が囮になるからその隙に逃げろ」 「リョウと一緒じゃなきゃ嫌よ」 リナは泣きながら胸に飛び込んできた。俺はリナの頭を軽くなでたその時 俺たちの目の前に巨大な雷光が落ちて辺りに砂埃が立ちこめた。 「なんとか間に合ったわね」 砂埃が消えまぶたをゆっくり開いた俺達の視線にポニーテールの少女が凜々しい姿で立っていた。
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