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送りつけていた些細なメッセージはちゃんと彼との間を繋いでくれていたようで、昨晩の藍染さんの態度は喫茶店で話していたときより随分柔らかくなっていた。
視線を合わせるのが得意ではないのだろうと、最初から正面に座らなかったのも当たったと思う。
髪色にこだわりがあるし似合う服を着ているからファッションならと思ったが、ブランドにはこだわりが無いようでそういった話題には乗ってこなかった。そもそもそっちにとても興味があるのなら努さんと積極的に話していたか。
可愛いや面白いも一瞬にして消費されるもので長期的には役立たず、料理なんてもってのほか。
そんな中、反応を示してくれたのがゲームだった。
僕にはさっぱりわからないゲームを、どうやら彼はいくつかやっているらしかった。タイトルをコピーして動画を探し見たりもしたが、プレイヤーが一体何処を見て何をしているのかもわからない。
わからないのなら、と昨晩はそれを使うことにした。
幸いうちにはゲーム機がある。性能の良い後続機が出たからと誕生日プレゼント名目で友達がくれた中古品。あの時一緒にやろうと設定をしてもらったし、ソフトもいくつか貰ったが、僕ではなく友人が遊ぶために使われている。極稀にだが使われているから壊れてはいないはずだ。
家への誘いは遠回しに断られてしまったが、絶対に嫌、という態度ではなかった。
彼がそのように僕に対し優しさを見せてくれたことが嬉しかった。
努さんがモデルの話を出した時に、チラとこちらを気にして見てくれたのも。
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